04年に欧州連合に加盟したことで経済ブームが発生したバルト3国ではあるが、それは既に終焉し、経済は急速に失速中であるという。
英FT紙によると、エストニアの第1四半期のGDPは昨年同期比で-1.9%となり、リトアニアでは経済成長率は6.9%へ減速、そしてラトビアでは3.6%成長にまで急減速となっている。
二桁成長を謳歌してきたバルト3国経済では、ここ数年、賃金は高騰し、インフレはうなぎ登りとなり、不動産価格は高騰が続いた。
しかしながら、驚異の急成長を達成してきたバルト3国も高インフレにより購買力も低下し、不動産価格の下落が消費者信頼感指数の急低下に飛び火し、ここに来て不動産業界では危機的な状況に追い込まれてしまった。
エストニアでは、昨年フィンランドの電子メーカーElcoteqがエストニアでの賃金平均を15%引き上げたが、それでも人材確保が出来ず、ハンガリーで人材を確保してタリンで就労させ何とか工場を稼動させてきた。
しかしながら、同社では今年2200人いる従業員を1700人にまで削減し、何とか生き延びようと模索している。
同様にロシアとの国境街ナルバで繊維会社を運営するスウェーデンのKremholmでは、5年前には4500人いた従業員を順次削減し、この7月には1100人にまで減らすことを決めている。
これまで賃金が安いことでエストニアへ進出してきた国際企業は、競争力をなくしたエストニアから次々にその生産施設をアジアなどへ移転させ始めている。