LETAによると、欧州委員会がポーランド、チェコ、スロバキアが比較的この金融危機に上手く対応できている一方で、バルト3国とハンガリーが深刻な影響を受けていると懸念を表明している。
欧州の半期予測レポートには、ポーランド、チェコ、スロバキアでは、来年度も2010年度でも経済成長が予測されるが、エストニア、ラトビア、リトアニアでは、景気後退に苦しみ、高インフレや財政の悪化などがユーロの導入時期を更に遅らせることになると指摘している。
既にIMFに融資を申請しているハンガリーでは、欧州加盟諸国中、最も金融危機に影響を受けており、09年度の経済成長は0.7%、2010年度でも1.8%に留まると見られている。
バルト3国各国は、元々外国資本により景気が拡大したという背景がある為に金融危機の影響は深刻で、ラトビア経済は09年度に2.7%、2010年度で1%成長に留まる見通しとなっている。
同様にリトアニアでは今年は何とか経済は拡大するが、2010年度には‐1.1%にまで低下すると見られる。
エストニアは09年度には1.2%まで経済成長率は減速する見込み。
こういった経済環境下に直面している為、バルト3国ではIMFや欧州にハンガリーのように金融支援を求める可能性が高まっている。
米メリルリンチが東欧の経済状況は1997年に東南アジアで起こった金融危機当時よりも更に深刻だと現状を分析している。
Õhtulehtによると、東欧経済は東南アジアや南米が経験した金融危機よりも深刻な状況で先行きは極めて不透明だという。
東南アジアでの金融危機では為替や株式は暴落し、多くの企業が破綻している。
当時の株式市場は50〜80%下落しており、インドネシアや韓国、タイなどが深刻な経済危機に見舞われた。
Alfa.ltによると、リトアニアの電気料金が7センタス(約2.52円)値上げされ、1時間あたりの1キロワットに付き0.4リタス(約14.4円)に値上げされるという。
大手電力会社VST及びRSTでは値上げを発表し、価格及びエネルギー国立委員会からの承認を得た後、早けれは11月末にも新料金が導入される。
VSTはリトアニアの西側半分に電力を送電しており、RSTが東側半分に電力を供給している。
経済ニュースBBNによると、エストニアの観光名所として有名なパルヌ(Pärnu)市が地元建設会社と結んだ市庁舎修復作業の費用高騰を背景に毎月1000万クローン(約8000万円)の返済を強いられており、最悪、市政府が破綻(ディフォルト)の危機にあると報じている。
Tiit Kuuli氏が経営するSteniardがパルヌ市と契約した市庁舎のリノベーション事業でパルヌ市は大きな負担を強いられることになった。
報道によると、リノベーション作業は、3年前に試算された当初の計画よりも3倍の費用がかかることが明らかになり、その差額を市が負担せざる得なくなっている。
当初の計画ではリノベーションには3000万クローン(約2億4000万円)強の予算が確保されていたが、その後、建設費用の高騰で9000万クローン(約7億2000万円)にまで費用が嵩んでしまった。
市政としては、新たな財政出動を思案せねばらなくなったが、この不景気の最中、市が所有する不動産の売却は出来ず、資金調達に頭を抱えている。
2007年以来、パルヌ市はSteniardに対し2500万クローン(約2億円)しか支払いを済ませておらず、金利も含め、6300万クローン(約5億400万円)が滞納状態になっている。
契約に基き、同市は毎月10万3000クローン(約82万4000円)の支払い義務が生じている。
パルヌ市の財政がここまで困窮した背景は、もう一つの大型プロジェクト『パルヌ・スポーツ・アリーナ』の建設で、市の予算を3100万クローン(約2億4800万円)も上回ったことが挙げられている。
同プロジェクトでは、最終的に1億3100万クローン(約10億4800万円)の支出を余儀なくされている。
LETAによると、ネクストガバメントの首相候補にあるAndrius Kubilius氏が、リトアニアを襲う金融危機により、国家歳入は細り、国政はリセッションに苦しめられることになると示唆している。
同時に次期連立内閣目指す祖国同盟(Homeland Union-Lithuanian Christian Democratic Party)でも将来の財政状況を悲観する見通しを示しており、更なる財政の悪化を危惧している。
Kubilius氏によると、現在財政赤字は30億リタス(約1089億円)に達しており、将来これを補うだけの歳入を期待できるかというと悲観的にならざる得ないという。