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トップ > 週刊バルトジャーナル69号から
欧州不動産ブーム エストニアがトップ!

先日、欧州の不動産ブームの現状についてのレポートが王立公認不動産鑑定士協会(Royal Institution of Chartered Surveyors:RICS)から発表され、エストニアの不動産価格が欧州で最も上昇したことが報告された。

RICSによると、05年度のヨーロッパの不動産価格はエストニアの不動産価格が28%上昇し、デンマークの22%を上回る結果となった。価格高騰が指摘されてきたイギリスでは昨年は中央銀行の努力の甲斐があってか2%の値上がりに留まり、ドイツでは不景気が影響して逆に2%の下落が記録された。

上位5カ国の上昇率は、エストニア28%、デンマーク22%、スペイン15%、スウェーデン12%、フランス10%となり、エストニアを含む北欧3カ国の住宅ブームが英、仏、西班牙の不動産ブームが大きく取上げられる中、実際にはそれらを上
回っていたことになる。

つまり、北欧諸国の不動産価格がこれまで価格が高騰気味であった地中海周辺諸国の価格帯に徐々に追いつく状況になりつつあることを意味している。

欧州全体を見ると、過去7年に及ぶ不動産ブームがあり、RICSの予見では、今年、その不動産ブームに終焉がやってくると分析している。

価格の下落が記録されたドイツでは、既に供給過多の傾向が強く、数年に及ぶ経済回復期待が裏切られたことからも、不動産市場は停滞気味という結果となった。

エストニアの隣国となるデンマークでは、住宅ローン市場動向に変化があり、価格は大幅に上昇した。20年、30年といった固定金利型の住宅ローンを好む消費者が依然多い中、変動金利型や金利払い据え置き型ローンなどの新種の住宅
ローンの投入もあり、それぞれを組み合した有利な条件で住宅購入資金の手当てを確保できるようになったことなどが住宅需要を刺激し、住宅価格が高騰する要因となっている。

当地、エストニアでは、人口130万人強といった至って小さい国であるにも拘らず、外国から大量の資金が不動産市場へ流入したことで不動産価格を大幅に引上げる主因となった。

特に数百人程度の外国人投資家が投入した大量の資金が市場規模が限られているエストニアで大きなインパクトを与え、不動産価格が高騰するといった結果を引き起こしている。

フランス、スペインなども不動産価格は高騰が記録されたが、主にイギリスの不動産ブームから飛び火したという見方が一般的で、イギリス人によるセカンドハウスといった夏季/冬季の休暇時使用を目的とした不動産購入ブームが価格高騰の背景にあると考えられている。

しかしながら、フランスには3000万戸の住宅に対してイギリス人家主の住宅は26万戸に過ぎず、それもその殆どが価格高騰が激しいパリ、マルセーユ、リヨンなどの都市部ではなく、郊外に位置していることから一方的なイギリスを槍玉に挙げた価格高騰には説明が十分とは言えない。

昨年のフランスの住宅価格は若干の停滞気味を示したが、それでも10%強の値上がりが報告されている。

スペインの不動産価格も1998年から続くブームで既に物件の供給過多になりつつある現状と住宅ローン金利が上昇する傾向にあることから04年程の上昇は記録されなかった。

RICSでは、欧州で起こっている不動産ブームは多くの国でインフレを大きく上回る価格上昇が続いたことからも限界点に来ており、直に終焉を向えるという予測を立てている。

今後とも価格上昇が期待される欧州諸国としては、これまで住宅価格が落ち着いていた北欧や引き続き高度経済成長の継続が予測されるエストニアなどの諸国に限られるということになる。


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