リガ旧市街地からの展望1
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07年1月1日からブルガリア、ルーマニアがEU加盟を果たすことが決まり、巨大化する欧州・中東欧に続き、巨大市場として台頭しつつあるロシア、GDP成長率が10%を上回るバルト3国、国営企業の民営化を急ぐCIS諸国といった地域の経済状況などの情報を配信しています。

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月刊バルトジャーナル 多事争論Vol.002

 

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★多事争論 前編
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2009年が始まったと思いきや、バルト3国ではリガとヴィルニスという3大首都の2つで暴動騒ぎが発生してしまいました。

暴動を最初から予定して暴動が始まったというわけではありません。

今回の暴動の背後には、生活に困窮する現状を何とかしてくれと政府に求めた結果、発生したものでした。

近年、バルト3国では物価が高騰してしまいました。

インフレ率は去年は3国何処も二桁という物凄い値上がりが記録されています。

もちろんジンバブエのような年率1000万%?!みたいな異常なインフレ率とは違いますが、給与が上がってもその分を物価上昇で打消してしまう程のインフレ率では一行に市民の生活は改善されません。

1月13日にリガで発生した暴動では、当初は政府に抗議行動という形で2万人あまりの人々が集まったと言われていますが、128人が逮捕され、警官3人を含む28人が病院に運ばれました。

実際、この暴動では最低でも10万ラッツ(約16億5000万円)の損害が出ています。

年初から大幅にVAT(付加価値税)を引き上げた事で既にこれまでにも生活が苦しかった人達は、更に生活が困窮することに憤慨し、抗議行動に出た結果がこの暴動という悲劇を生みました。

この動きに連動するかのようにリトアニアの首都ヴィルニスでも16日に暴動が発生しています。

ヴィルニスでは7000人を超える市民が集まり、こちらでは82人が逮捕され、15人が負傷しました。

被害額は200万リタス(約6740万円)。

ヴィルニスの暴動では、リガとは違い最初から暴動が目的だったとしか思えない節もあるのだが、それは逮捕された市民の一部には、手にはナイフや警棒、そしてモロトフ火炎手榴弾という殺傷性の高い武器まで持ち寄っていた為である。

3大首都の内、2つで暴動が発生したことでタリンでも暴動となりうる抗議行動の呼びかけなどには細心の注意を警察組織は払ってきた。

結果的にエストニアでは暴動は起こらず、この1月を上手く乗り切ったと言えるだろう。

リガでは旧市街の至る所に警察官が配備され、依然、暴動や反政府活動への警戒を怠っていない。

ただし、ラトビア国民の間では、政府への不信は高まっており、Latvijas faktiが行った市場調査の結果、市民の実に64.3%が議会の解散を支持している。

市民は、もし大統領が議会の解散を指示するのであれば支持するというもので、ラトビア系市民の61.2%、ロシア系市民の71.1%がそれぞれ解散を支持している。

暴力に出る行動自体は賛成しかねるが、何らかの示威行動は必要だとの意見が市民等の過半数の意見のようだ。

ところで、これまでバルトジャーナルでもバルトジャーナル・ブログでも何度か取上げてきたリトアニアのナショナルフラッグFlyLALがとうとう破綻してしまいました。

*詳細はバルトジャーナル・ブログをご参照下さい!

スイス企業による買収偽装疑惑も事件化し、疑われている同社への調査を当局が指示していることからも買収成立を匂わせて、借金返済時期を引き延ばすといった偽装工作を計っていたとしてFlyLAL株主とスイスのSCH Swiss Capital
Holdings AGへの捜査に司法当局も着手している。

そしてそのFlyLALは、路線譲渡交渉をスカンジナビア航空と続けてきたが、漸く引受けてとして傘下のエストニア航空に就航路線先全てを譲渡することで交渉が纏まっている。

受け手となったエストニア航空だが、実はこちらも経営は逼迫している。

実際にエストニア航空はこの1月にも3000万クローン(約2億2800万円)の短期ローンを大株主であるスカンジナビア航空から得ている。

同様のローンはこれで2度目となり、3度目、4度目も間近とも見られている。

自転車操業状態にあることから、その存続も危ぶまれている。

つまり、綱渡り状態で事業継続をしており、こちらもいつ何時、破綻してもおかしくないということだ。

こういった経済環境下、世界では大富豪だけを顧客とした巨大投資詐欺事件が事件化した。

世に言うマドフ詐欺事件だ。

マドフ詐欺事件は、ネズミ講(ポンジー・スキーム)的に次から次へと投資家を募り、投資家への投資リターンとして新たに見つけてきた投資家の資金を自転車操業的に回してきたというものだ。

それもその総額は500億ドル(4兆5000億円)にも及ぶ。

年率8〜12%という高率の配当を長年続けてきたといい、そして投資のプロだと見られてきたヘッジファンドなどの運用者もマドフ氏が何にどう投資してきたのかの詳細確認すらしてこなかったという。

これはバーナード・マドフ氏がナスダックの創業者でSEC(米証券取引委員会)にも大きな影響力を持つ同氏という肩書きが多くの投資家や投資のプロの目を曇らせることに役立っている。

この事件では、世界中で著名大富豪が自殺するという目を疑うような被害者が続出した。

世界経済が不安定化し、経済活動が大きく変調をきたしたことで、これまで上手く詐欺を誤魔化してきた詐欺師等は今、この経済不況によりその詐欺活動が世の中に露呈し始めてきているのだろう。

エストニアでも最近は保険金詐欺が多発している。

手っ取り早く詐欺を働くことでお金が得られるとして、職を失った人たちが安易に詐欺に走ってしまう。

同時にこれまで詐欺を行っていた詐欺師は、夜逃げ同然でエストニアから去る者まで出てきた。

昨秋から大きく事件化したパルヌの不動産詐欺はあくまでも氷山の一角で、エストニアでは不動産詐欺や詐欺もどきそしてマネロン事件が多発している。

この1月にも巨額のマネーロンダリング事件が摘発され、エストニア企業が手を貸したとして捜査対象となっている。

警察当局は、昨今の犯罪増加を懸念し、警戒を強めている。

詐欺被害にあっているのではと思われる方は、是非、地元警察に相談される事をお勧めする。

犯罪増や経済不況に苦しむエストニアではあるが、実は殺人事件は過去最低を記録したという嬉しいニュースもある。

殺人事件数は過去18年間で、つまり独立後、最も少なくなっている。

昨年、殺害された市民は86人に留まり、1991年以来の低さとなった。

そして殺人未遂は16件であった。

07年の殺人件数からは6件、そして06年からは11件も殺人事件は減少した。

独立後、エストニアで最も殺人事件が多発したのは1994年の事で、当時は426人が殺害されている。

エストニアでは、長らく殺人事件が報告されていないといった誤った情報を流す声を依然聞いたことがあるが、これが司法省が発表した殺人の実数である。

殺人の多くは首都圏のハルユ区で多く、次いで東ヴィル区となっている。

また、男女比は男性63人に対して女性21人、そして民族比では、エストニア人33人に対して、ロシア系で46人が殺害された。

景気悪化と犯罪増という負の連鎖は確かに懸念材料である。

しかし、景気悪化という中でも去年高騰に歯止めがかからなくて市民の生活を直撃したガソリン価格は今、漸く落ち着きを見せている。

ラトビアやエストニアのガソリン価格は欧州諸国の中でも最も安い国の一つとなっている。

ラトビアのガソリン価格は、この1月は安い国の第4位につけた。

ラトビアのガソリン価格(レギュラー)は、1リットルあたり0.773ユーロ(約90円)で、最も安かったルーマニアの0.71ユーロよりは約9%程高く、最も高かったオランダの1.3ユーロからは40%近くも安い価格で提供されていた。

*ガソリン価格は、各国のガソリン税の税率により大きく異なります。

因みにタリン市中のガソリン代は、現在、90円強で販売され、同様にヴィルニスでは、1リットル106円強とバルト3国一のガソリン代で売られています。

本来なら景気後退下ではあるが、物価下落は消費需要増に導く追い風であるにも関らず、将来不安から市民等の財布は閉まったままであることが、更に景気の足を引っ張っている。


前編のおわり

続きは中編へ

多事争論 中編の始まり

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★多事争論 中編
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景気悪化に伴い、個人も法人も懐具合が寂しくなっている。

所得が少なくなった一方で、毎月のそして毎日の支出は、節約をしたとしても必ず出て行くものの金額があまり変っていないということで苦しい生活を強いられているというのが実状だ。

エストニアでは、支払に窮する市民が増えたことで、債権取立て屋が思い切った行動に出ている。

日本では個人情報を盾にあり得ない事だが、最近、取立て屋が公共のビルや商業スペースなどの広告スペースにナント債務者の氏名を張り出してしまった!

債権取立て会社CKE Inkassoは昨年の暮れに10社の企業名と役員の指名をTaksoparkの公共のスペースいっぱいに張り出すと発表していた。

1月5日に張出された実際の債務者ポスターは実に35メートル大の大きさで、誰もの目にも容易に留まる程の大きさであった。

公共の目に留まることとなった企業名や個人名はその債務高によって選ばれた訳ではなく、応対があまりにも悪態であったことなどがその理由だという。

そして公表された企業等の半数は、即日、債務の返済を約束し、企業名と個人名の取り下げを求めてきたという。

方法論的には流石にやり過ぎではとも思えるが、実際に氏名が公表されたことで支払を済ます者が多かったことで、この債務者ポスターも効果的な取立て手段だと業界では今後も同様の手法を取ることをも辞さないと示唆している。

2004年のEU加盟前後から続いた好調な経済発展を背景に、市民等の支出志向は年々大きくなり、そのバルーンが大きさの限界に達した途端、破裂し、今、市民らは広げ過ぎた風呂敷の後始末に追われている。

昨年末、タリン工科大のRainer Kattel教授が15年間も続いた経済成長は、実はねずみ講(Pyramid Scheme)だったのではという論文を発表している。

同教授は、15年間も続いたエストニアの経済成長は、自由経済と経済政策が外国からの直接投資を引き寄せた結果であったと分析し、今後、5年から10年かけてこれまでの経済成長がねずみ講そのものであったことを理解することになると評している。

今日のエストニア経済は、縮小し、失業率は年々倍々と悪化し続け、公共部門は支出を続け、過去の失敗や現実的な改革計画から逃避していることなどが原因になっていると同教授は述べている。

外国人機関投資家や投資家などが巨額投資を続けたことで経済成長は継続し続け、奇跡の経済成長とまで呼ばれるまでに至った訳だが、エストニアが今、この苦境に如何に対応するかが問題となっている。

投資資金が細った今、これまで同様に外国からの資金頼りとするのであれば、世界が再度、何らかのバブルが起こらない限り、過去のような巨額投資はエストニアは起こらないだろう。

生産性の向上、人材の確保、技術革新などが他国に比べて如何に優位であるかを示す必要があるが、現状ではどれをとってもその優位性を見出すことは難しい。

しかしながら、現在のエストニアには、

1.この経済危機は外部要因によるところが多く、世界が元に戻れば、エストニア経済も回復するので、現在の経済政策を変更する必要はなし派。

2.新たな政権を模索し、何らかの新政策に打って出る必要があると主張する派。

3.改革党を中心に親自由経済主義を強化し、過激であったとしても更に新たな経済新戦略に打って出る必要がある派。
*規制緩和により、失業率の改善や賃金の急上昇を防ぐことなどを目指すことなどを改革党は主張している。

これら3つの意見が議論されるが、即効性があるのかについては現在の所、誰も明らかな答えを持ち合せていない。

同教授が指摘する問題は、エストニアの経済政策議論に欠如しているものは、例えば半年前に外国の経済アナリスト等が繰り返し鳴らした経済危機警鐘の声を当時完全に無視した為に、今のような景気の落ち込みを経験せざる得なくなってしまったといった客観的な目で物事を分析できないといったもので、エストニアのリーダー等は、景気のいい話ばかりを信じて、経済の実状を無視してしまう傾向が往々にあるというものだという。

ここまで悪化したエストニア経済には正に通貨切下げ懸念まで台頭してきており、ユーロ導入どころではなくなりつつあることも現実だ。

同教授が示唆するところは、これまでのような親自由経済主義からの離脱で、正に今、アメリカが取ろうとしている保護主義への回帰も次のステップとして、その選択肢の一つに加えるべき時に来ているというものである。


中編のおわり

続きは後編へ

多事争論 後編の始まり!

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★多事争論 後編
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昨年、バルト3国各国の銀行業界では例外なく、先進国同様に収益を大きく落としている。

ラトビアの銀行業界では計7800万ラッツ(約128億7000万円)の収益に留り、バルト3国中、最も低い黒字額に留まった。

この水準は実に前年期比で-78%もの減少となり、07年度の収益と比較すると、2億9400万ラッツ(約485億1000万円)もの減少であったことがわかる。

他バルト3国を見ると、エスト二アの銀行業界では昨年約40億クローン(約304億円)の黒字に留まり、リトアニアでも9億260万リタス(約306億9000万円)の収益となり、前年同期比で-21.9%の減益であった。

これらの黒字額だけを見ると、人口が最も小さいエストニアが意外にも健闘していることが見て取れる。

しかし、金融業界の不信は、イコール、各国経済の衰退に繋がる。

今、ソブリン格付けなどをつける英フィッチでは欧州で9カ国が格付けの引下げ対象だと示唆している。

同社では、向こう1年半の間に9カ国が引下げの対象となり、銀行業界への財務緊急支援の必要性、為替の急落、景気後退の長期化などが格付け引下げの要因になり得るとしている。

この9カ国とは、ラトビア、エストニア、リトアニアのバルト3国の他、ルーマニア、ロシア、ウクライナ、セルビア、グルジア、カザフスタンなどとなっている。

現状を踏まえると、引下げの可能性は60%の可能性であり得るという。

因みに、この内、唯一、エストニアだけは現在A-の高格付けを得ている。

リセッションに入ったと見られるバルト3国に対し、欧州委員会もこのリセッションは更に深刻化すると警鐘を鳴らしている。

EUでは、予想を超えてバルト3国の景気の悪化は進行し、懸念材料化しているという。

ラトビアのGDP成長率は、今年、6.9%が予測され、来年度も2.4%成長に留まると試算されている。

二桁成長を果たした時と比べると実に悲しい数字が並ぶ。

ラトビアの景気後退は08年上半期に始まったと確認され、外部要因の悪化も相まって、その悪化具合を更に深刻化させてしまった。

不動産ブームを原動力としてGDPを伸ばしてきたラトビアにとって、不動産バブルの崩壊は全ての経済ファクターの悪化要因となり、ラトビアの失業率は、昨年の6.5%から2010年には11.4%まで悪化すると見られている。

同様にエストニアでも景気後退は顕著で、予想を大きく上回る後退の深刻化に悩んでいる。

経済活動の停滞は、昨秋から悪化した世界的な金融危機に影響を受け、本年度も2010年度もGDPは1%前後の極めて低い成長率に留まる見通しとなっている。
 
失業率に至っては、昨年度の5.1%から来年までには9.7%へと倍増すると見られている。

バルト3国の中でリセッションが最後にやってきたリトアニアでも、予想を超える不景気がやってくると予測されている。

昨年、3.4%のGDP成長率を維持したリトアニア経済は、今年は4%近い縮小が予測され、2010年度も更に2.6%は縮小すると見られている。

失業率は昨年の5.4%から、他国同様に倍増となる10.2%への悪化が予測されている。

バルト3国中、既にIMFなどへ資金支援を求めているラトビアでは、援助資金の36%は金融建て直しの為に金融業界に注入される見通しだ。

今後、09年から2011年までに金融業界へは計19億200万ラッツ(約3138億3000万円)の資金が提供される予定で、そして35%分にあたる18億4300万ラッツ(約3041億円)が財政赤字の穴埋めに投入されることになる。

その他には、21%相当の11億2300万ラッツ(約1853億円)が国債の借換えに向けられ、8%相当分の4億200万ラッツ(約663億3000万円)が国家財政予算融資枠に留め置きされるという。

そして緊急事項である金融の建て直しに向けて、09年度に受け取る資金の実に51%相当分18億6800万ラッツ(約3082億2000万円)が金融業界の安定化に向けられることになっている。

IMFを筆頭に、欧州連合、北欧4カ国、世界銀行、そして欧州復興開発銀行、チェコ、ポーランド、エストニアからラトビアへ緊急援助される資金の総額は52億5000万ラッツ(約8662億5000万円)にも上り、早急な経済の建て直しに着手する必要性に迫られている。

緊急支援を受けることが決まったラトビアだが、52億ラッツ(約8580億円)を越える借金を世界中から抱えたことになるが、戦略研究センター(Centre for Strategic Research)のレポートによると、ラトビアは、今後、2年以内に国家破
綻に陥ることになると衝撃的な内容が報告されている。

同レポートによると、バルト3国は市場経済移行国の中でも最も最初にその被害国になり得るとしており、例えIMFが資金援助を継続したとしても経済の安定は長続きしないというものだ。

ラトビアの困窮は、EU加盟以降に拡大したユーロ建ての債務が今となって巨大な弊害となってしまったことにある。

個人借入はGDPの実に125%に達し、政府借入もGDPの9%相当にあたる。

そしてその総額は400億ドル(約3兆6000億円)に達してしまった。

現在、ラトビアで融資された債権の90%がユーロ建てで、同時に預貯金の70%がユーロ建てで預けられている。

今はまだ、ラッツはユーロとペッグされていることで為替が固定されているが、将来的に万が一にも通貨切下げでもされてしまえば、その債務額は個人レベルで返済できる額ではなくなり、国家自体をも飲み込みかねないという大きな問題になりかねないとされている。

この通貨切下げ懸念に関しては、ラッツだけの問題ではなく、バルト3国各国共、共通のものとなっている。

各国共に企業倒産は物凄い勢いで増加しており、同時に進むリストラによる失業者の急増が所得源を無くした市民等の支払を更に悪化させている。

完全に悪循環に陥ったバルト3国経済をIMFなどの国際機関が一体何処まで下支え出来るのか疑問視されている。

果たしてバルト3国は今年、上手くこの経済危機を乗り切れるのだろうか?

デフレ懸念も広がる社会では、賃金などは減少するが、物価上昇が抑えられることで、これまで最大の障害となってきた高インフレからは解放されることになり、上手く振舞えられれば、ユーロ導入チャンスは広がることになる。

ただし、財政赤字を膨らまさない限りという限りなく極めて難しい宿題が課されている事も忘れてはならない。




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