3姉妹オープンカフェ
メールマガジン
07年1月1日からブルガリア、ルーマニアがEU加盟を果たすことが決まり、巨大化する欧州・中東欧に続き、巨大市場として台頭しつつあるロシア、GDP成長率が10%を上回るバルト3国、国営企業の民営化を急ぐCIS諸国といった地域の経済状況などの情報を配信しています。

メールアドレス:

→詳しくはこちら


i-modeにて最新経済ニュースをいつでもご覧いただけます。

広告掲載について

トップ > 週刊バルトジャーナル99号から
露系巨大石油資本、バルト3国でのシェア獲得戦略

 

ロシアの巨大石油会社ルクオイルがエストニア、ラトビアで足場を固めようとしている。既に進出済みではあるが、展開するガソリンスタンド網をより充実したものにしていくという。

ルクオイルのNikolai Cherny副社長は、バルト3国における自社ブランドのガソリンスタンド網を拡充することを計画していることを明らかにし、特に既に十分にシェアを確保したリトアニアを除く、ラトビア、エストニアに焦点を当てていく計画であると示唆している。ルクオイルの目標は、既にこの2カ国でシェアを固めているスタトオイルやネステを追い越すことに置いている。

昨年末までにルクオイルは世界に5830店ものガソリンスタンド網を世界に展開しており、その内の1950店がアメリカにある。ロシア国内には1694店舗を展開し、ヨーロッパでは1578店、そしてバルト3国とCIS諸国に合わせて593店舗を展
開させている。

バルト3国だけを見ると、ラトビアには36店のスタンド網を展開し、エストニアの39店舗とあまり変わらない店舗数に留まっているが、リトアニアでは既に120店舗のスタンド網を構築済みである。因みに競合のノルウェー資本スタトオイル(Statoil)は、エストニア43店、ラトビア56店、リトアニア60店、そしてフィンランド資本のネステ(Neste)は、エストニア36店、ラトビア36店、リトアニア33店とほぼどの国でも出店数が同数で並んでいる。

ルクオイルでは、リトアニアでのシェアは強固なものになっており、これ以上の成長が望めないことから、バルト3国全体でスタンド網を強固なものにすることが今後この地域での影響力を維持することになると進出意欲を示している。進出が遅れ気味のラトビアとエストニアでは新たなスタンドの開設、既存店のリニューアル、そして他社の既存店の買収などでシェアを高めていくとしている。

最終目標は、スタトオイルやネステと同様のシェアを獲得し、リトアニアでのようなシェアをラトビアやエストニアでも確保することに置いている。

この他にもルクオイルは北欧でのシェア拡大も目指しており、フィンランドではエクソンモービルから200店のスタンド網買収を協議している。ルクオイルはフィンランドでは傘下のTeboilが窓口になっており、エクソンモービルが持つ300店舗が視野に入っている。これらは実際には、バルト3国にせよフィンランドにせよ、ルクオイルが進める2010年までに店舗数を国内外で8000店舗にするとう企業目標の一部に過ぎない。

ルクオイルのDmitry Dolgov広報部長は、バルト3国でのスタンド買収協議は認めるが、フィンランドでの協議内容については明確な意思の表明は何も無いと語っている。同氏はラトビアについては店舗数を50店舗にすることを目標とし、市場シェアは23%が目標と語っている。この数字はスタトオイルがラトビアで持つシェアと全くの同数である。

同社の企業戦略はとても明白で、地元の零細スタンドを次々と買収することが最優先とされており、これはリガでスタトオイルが用いたシェル系スタンド全てを買収したことを踏まえて練られた戦略と思われる。

実際、ラトビア、エストニアでのシェア拡大を求めてルクオイルでは今後少なくとも5億ドルから10億ドルを投じると見られている。旧ソ連圏ということで政治的なしがらみが実際に存在するバルト3国において、ロシアのエネルギー外交の影響力を増すためには、やはり独自ブランドによるスタンド網の拡大がルクオイルだけではなく、背後にあるロシアとしての政治目標なのかもしれない。


Copyright (c) 2004 CPGBalticsOU All rights reserved.
本ホームページの全部または一部を 無断で複写複製(コピー)することは、 著作権法上での例外を除き、禁じられています。