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トップ > 週刊バルトジャーナル148号から
オイルマネーが世界のビーチリゾートを圧巻?!〜ロシア〜

 

オイルマネーの流入で続々と富裕層が生まれているロシアでこれまでとは違った資金の流出が起っている。97年の金融危機の経験から得た資金は出来る限り海外へ持ち出すという資金流出が長らく続いたロシアでまた新たな現象が見て取れる。

今のロシアでは原油や天然ガスといった天然資源を元に巨額のマネーが国内に流入し、独立直後から増え続けた巨額の借入(パリクラブ)への支払いも難なく処理できるまでに経済が成長してきている。

一時期は大量に儲けたオイルマネーなどは国家の締め付けを恐れ海外で滞留されたり、国内に流入してもキャピタルフライトとして海外へ改めて持ち出されるという流れが出来上がっていた。

今、裕福になったロシア人達が新しいお金の使い方に目覚め始めたのだ。大金持となったロシア人は、ロシア国内でも金ピカの装飾品に興味を示し、金、銀、ダイアモンドなどで宝飾された何百万円もする携帯電話を購入したり、ロンドンの超高級マンションを現金で支払って見せたりとロシア人の懐の深さをあちらこちらで垣間見ることが出来るようになった。

世界の主要都市を正に闊歩するのはロシア人ビジネスマンなのだ!

ところで、この時期、ロシアでは多くのロシア人が極寒を避け南部のカスピ海や地中海といった地域へ旅行に出かけて行く。

実際に昨年ロシアでは1500万人以上、人口の10%以上ものロシア人が海外へ旅行を楽しんでいる。特に彼等の好みはエキゾチックな雰囲気を醸す諸国や地域などでこの冬にも温暖な気候を求め過去最高のロシア人が旅立っている。

急速に大金持ちになったロシア人は最近では日本でも見受けられるようになっている。昔は日本でロシア人と言えば、貧しい国民というイメージが強く、もしくは日本にカニを売りに来て帰りに中古自動車を買い付けていくといったイメージしかなかった。

だがしかし、現在は全く違うロシアがここに存在する。

急成長を果たしたロシア経済によって、中級階級のロシア人もその恩恵に預かり、こぞって空港に押しかけ海外旅行を楽しむようになった。彼等は稼いだお金を使って海外へ行き、そこで高級ブランドや不動産を買い漁るようになってきた。

まだまだロシア経済が急成長を始めたばかりの頃には、一部の一握りの市民だけが海外で不動産を購入する特権を持っていた。

それが今では中級階層の市民等も温暖な外国に行って、そこで別荘を買い求めるようになっている。

西欧諸国経済がもたもたしている間にロシア、中国、中東といった諸国の国民はますますその裕福さに拍車を掛けようとしている。

今、ロシアで起っていることは海外旅行もしくは海外投資という名のキャピタルフライトである。

最近のロシアでは、海外渡航先として最も人気がある都市としてエジプトやタイなどが注目を浴びている。そして、この地域でリゾートマンションを購入し、そこで休日を過ごすことがブーム、一つのステータスとなりつつある。

急速に経済が成長したロシアでは世界からありとあらゆる贅沢品が国内に入ってきた。一時期の日本を見ている様に。

プーチン大統領が政権に就いて成就させたことの中で最も明らかに変わったことは、西欧が思い描くような弾圧されたその日暮らし的な貧しい市民生活といったものは大きく様変わりし、実際の生活はより豊かになり、国民全体の生活水準を上げることでロシアの存在を世界に知らしめられるようになったことなのかもしれない。

ただし、行き過ぎた資金の逃避(資金の流出)には大統領も敏感になっており、国民に愛国心を煽ることでその急激なトレンドを抑えることを求めている。

実際の所、極寒の時期が長いロシアにおいてはエジプトやタイ、ベトナムといった年がら年中温暖な気候の地域に思いを寄せるのも当然の事である。

もしこの流れを止めたいのであれば、やはりロシア国内で好環境な避暑地を育成していく必要があるだろう。

ロシアにもモスクワから140キロというところにPodmoskovieというリゾート地があるが、誰しもが楽しめるという状況ではない。

やはりPodmoskovieも温暖なビーチリゾートと比較してしまえば、なかなかその溝を埋めるのは難しい。真冬でも太陽を浴びるその喜びは何事にも変えがたいのだ。

この数年、ロシアから多くの観光客がエジプトの紅海沿い都市を訪れるようになった。

実際に、街では英語を聞くよりも下手をするとロシア語を耳にする機会の方が多いかもしれない。

Podmoskovieリゾートを楽しむにはあまりにもお金が掛かり過ぎることも問題だ。

実際の所、エジプトやタイ、インドのゴアなどへ行った方が国内旅行を楽しむよりも何倍も安く済ませることが出来る。この点はどこか日本人が国内旅行をする方が海外旅行へ行くよりも結局高くつく感覚とそっくりである。

少なくともロシアも割高な国内リゾートをより市民の手に届くように努力をしていかなくては今のこの流れを止めることは出来ないだろう。

今、世界を見渡せばどこででもロシア人を見つけることが出来る。オイルマネーの流入は、当分止む事はないだろう。

大量に稼いだオイルマネーを元手に世界中の不動産を買い漁るようになりつつあるロシア人の背を見ながら海外投資を研究するのも上手い手段なのかもしれない。




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