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トップ > 週刊バルトジャーナル150号から
緊急提言〜MEDUSAの到来〜

 

MEDUSAといって何人の方がその意味がお分かりになるだろう?

MEDUSAとは、ある国々の頭文字をとったものである。Mとはマレーシア、Eとはエジプト、DUとはアラブ首長国連邦のドバイ首長国、SAとはサウジアラビアを指す。

MEDUSAという造語を唱えているのはBRICs経済研究所である。

今回の週刊バルトジャーナルでは、敢えてバルト3国というカテゴリーから外れ、直近に訪れたエジプトでの考察を踏まえ、このMEDUSAの可能性について特集を組むことにしました。

アメリカのサブプライム問題が世界で大きく取り上げられるようになった今、メディアで最も見聞きするようになったのが産油国等が運営する国家ファンドや正にこれから取り上げる諸国のイスラム金融である。

サブプライム問題が勃発するまでは、BRICs経済に次いで注目諸国として取り上げられてきたのがVISTAやNEXT 11と呼ばれる諸国であった。

因みにこのBRICsにせよNext 11にせよその呼称の命名者は米ゴールドマン・サックスである。そう今回のサブプライム問題で唯一1人勝ちした投資銀行だ。

昨夏を機に世界金融は大きくその舵をこれまでとは違った方向に切ろうとしている。

これまではアメリカ、ヨーロッパの好景気に支えられる形でアジア経済は成長し、ここ数年では資源国家と呼ばれるロシア、中東、中国などが石油、ガス、レアメタル等の収入に支えられその存在感を強めてきた。

アメリカの景気後退懸念やヨーロッパのユーロ高に起因する経済減速懸念などこれまで世界経済を牽引してきた欧米の金融機関がその体力を落としている最中、正に資源大国とされる諸国、特にイスラム諸国の金融機関が徐々に注目される存在になってきた。

MEDUSAがなぜ今、このイスラム金融の中でも最も注目されるようになったかは、1)政権が安定していること 2)経済基盤がしっかりしている 3)既にイスラム金融が確立されていることなどが挙げられる。

これらの諸国でも最も日本人に馴染みがあるのは恐らくドバイとサウジアラビアではないだろうか。

サウジアラビアは世界最大の産油国である。そして親米としても有名だ。現在は稼ぎまくったオイルマネーを使って観光業や金融産業を育成し、将来の石油経済依存からの脱却を目指している。

ドバイは最近観光地として急速にその知名度を上げており、そして国家としても中東の金融センター化を目指し、これまでも国家を挙げて邁進して来た。今日では、バーレーンを凌ぐ中東一の金融センターとしてのポジションの確立が視界に入ってきている。

そしてエジプト。エジプトはアフリカ最大のイスラム金融国である。エジプトには石油、天然ガスなどの天然資源の他、観光産業、スエズ運河事業もあり、ここ数年は外国資本の受け入れに積極的に転じ、企業、個人を問わず、ヨーロッパや中東諸国から大量の資金が流入したことを受けて経済が高度成長期に入ろうとしている。

経済成長を続ける最重要事項と考えられるのが人口問題である。そして今回取り上げる諸国では中国等の様に産児制限をかけていないことからも今後も人口は増加していくことが予測されている。

2006年にMEDUSA(4ヵ国)の総人口は1億2870万人であったものが、2050年には2億1440万人にまで増加するという。

特にこれらの諸国は、イスラム金融というネットワークにより深く結び付いており、相互に色々な投資を行っている。

アメリカを筆頭にヨーロッパをも飲み込んで世界経済がガタツキある中、弊社では敢えて次に世界経済を牽引するのはVISTAやNEXT 11を通り越し、このMEDUSA等が中心になるのではないかと分析している。

イスラム金融ってなに?

日経新聞などに最近よく取り上げられるようになったこの言葉、簡単に説明するとコーランの教えに沿って利子を取らない金融取引を行うことである。

ここ数年は石油や天然ガス価格の高騰を背景にこのイスラム金融は毎年15%を超える勢いで急速な成長を続けている。

今回訪れたエジプトでの見聞は、大きくこの地域の可能性を納得させられてしまった。

これまでのエジプトは、ピラミッドやオアシスといった観光資源やスエズ運河事業から財政を支えてきた印象が強い。実際、経済は現在でも輸入超過であり、貿易バランスを取ることに観光産業、スエズ事業、そして昨今の天然資源輸出が貿易赤字を帳消しにしている。

90年代後半は年平均5%強の経済成長が続いたエジプトだが、2000年に入りパレスチナ問題の悪化で景気が減速し失業率は10%の水準まで上昇してしまった。

しかし、現政権が導入した外資の導入が功を奏し、経済は急速に回復軌道に乗ることになる。

実際、規制緩和や関税の引き下げにより経済は安定し、また原油価格の高騰により歳入は豊かになり、今後の経済成長への期待からもカイロ・アレキサンドリア証券取引所の株価指数(CASA30)は07年もサブプラ問題を横目に50%強上昇
し絶好調を極めている。

国内の治安が安定したことからヨーロッパや中東諸国からの観光客は急増し、1990年の200万人から2005年には約900万人にまで増え、今では1000万人に迫ると見られている。

前記したように今世界では資源価格が高騰している、このトレンドに従い、エジプトも石油の輸出高を増やし、また液化天然ガスの輸出も手掛けるようになっている。

これらの安定収入に支えられ経済は急速に伸び始めているのだが、やはり昨今の急成長を大きく支えたのは外国資本の導入を決めたことだろう。

04年に関税税率を引き下げたことで企業進出を促進することに成功し、同時に法人税率をこれまでの最高42%を20%にまで引き下げている。

こういった政策に刺激され欧米企業が進出ラッシュをかけている。

そして先に取り上げたイスラム金融を背景に、中東からも企業が大量に参入する姿が見られるようになった。

最近特に目立つようになったのが不動産開発業への進出だ。

実際エジプトの不動産価格はこの地域では極めてお値打ち感がある。例えば、ドバイで1平米が平均約4000ドルで取引される中、エジプトでは400ドルから最も高いもので1400ドルという価格帯であり、この地域では最も安い価格で取引されている。

また同時に中東諸国では特に不動産の所有権に制限があることからなかなか手が出し辛い。

カタール、ドバイ、バーレーン、オマーンなどでは限られた地域のみ所有権が認められている。エジプトに関しては、取得できる土地の規模に制限があるが、シナイ半島を除けば多くの地域で所有権を持つことが出来る。

実際に先週までエジプトに滞在したが紅海の観光地では物凄い不動産開発が断行されている。

正に荒果てた砂漠の地に突如近代都市が出来上がるかのような勢いで。空港到着から目に入って来る都市建設の光景は、パッと見でも少なくとも40〜50もの建設計画が進行中だ。

サブプライム問題に全く影響を受けていないことからもこの地域の経済成長の流れは当分変わらないと思われる。

街中を歩く観光客もヨーロッパからの旅行者は相対的に少なく、ロシア、中東からの観光客が最も目につく。

これらを踏まえると、やはり資源高が続く限り、このトレンドは続く事だろう。

MEDUSAの主要株価指数は、昨年のエジプトの50%の値上がりを筆頭に、ドバイの40%、サウジアラビアの40%の上昇と軒並高騰している。

正に世界が震撼している金融不安を他所に高経済成長が続くことになるだろう。

これらを踏まえ、弊社ではエジプトを中心に注目していきたいと考えている。




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