コペンハーゲン20
メールマガジン
07年1月1日からブルガリア、ルーマニアがEU加盟を果たすことが決まり、巨大化する欧州・中東欧に続き、巨大市場として台頭しつつあるロシア、GDP成長率が10%を上回るバルト3国、国営企業の民営化を急ぐCIS諸国といった地域の経済状況などの情報を配信しています。

メールアドレス:

→詳しくはこちら


i-modeにて最新経済ニュースをいつでもご覧いただけます。

広告掲載について

トップ > MEDUSA情報
DUBAI~月刊バルトジャーナル Vol.003~

 

既報の通り、財政が行き詰ったドバイ首長国に対し、アラブ首長国連邦、そう所謂UAEが総額で200億ドル(約1兆8,500億円)、そして先ず始めに100億ドル(約9250億円)の金融支援を引き受けることで取り敢えずこの金融危機を乗り越える
体制ができた。

石油収入が殆どないドバイでは、長らく不動産バブルと金融バブルでその地位を確立してきたが、世界的な信用収縮の煽りを受けてドバイバブルも砂漠に散ってしまった。

ドバイは、今年、計150億ドル(約1兆3875億円)の融資や債権の借り換えが必要となっており、当初はドバイの債権100億ドルをUAEの中央銀行が買い取ることで合意している。

200億ドルの債権は無担保で4%の利回りで発行される。

といった感じのドバイ経済の現状だが、世界的に金融危機+不動産不況の嵐が荒れ狂う中、もちろん中東でもドバイ以外でも同様にそれらの影響を避けられず、金融、不動産、共に極めて冷めた状況になっている。

ドバイに代表される中東の不動産市場は、今ではサウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタールなど中東全体にそのバブルの崩壊は拡がってしまった。

サウジアラビアでは最近も新築マンションなどは軒並み-12%下落し、カタールやクウェートでもバブル崩壊に伴い、マンション価格の下落を前に不動産業界で働く人達が失職の恐れを戦々恐々と見守っている。

中東全体に拡がる不動産バブル崩壊からの経済不況を前にして、最も初めに不動産価格が下落を演じたドバイでは、海外からの投資家を守るための新たな法律の施行を目指す動きが出始めている。

ドバイでは今、建設途中にある物件や建設そのものが始まる前に頓挫しかかっている案件に投資してしまった投資家が最悪投資金額全てを無くしかねないとの悲痛の声が高まっていることで、投資家を保護する法律の導入で不動産市場のテコ入れを図ろうと画策している。

多くの建設案件が頓挫したり継続不可となる中、最近、一部のディベロッパーでは、完工延期の要請を投資家に求めるのではなく、物件価格の引き上げで資金調達を計り、建設を継続しようとする企業まで出てきている。

新投資家保護法案では、開発業者は、オフプラン住宅(住宅の図面販売)を販売する場合、前もって土地を自社保有せねばならず、また、販売前に既に20%の建設を終えていなければならないというものとなっている。

新法案では支払い方法にも言及しており、建設の進捗状況に合わせた割合で支払いをするように明記される。

ドバイでは、少しでも投資家の損失を和らげることで何とか完全ロスという最悪の状況を作り出さないためにも同法案の施行を急ぐといった具合だ。

ただし、これで現状の不動市場の地盤沈下を止められるかは極めて不透明で、既に不動産をドバイで購入し、その物件の建設が頓挫してしまった投資家等は、依然、下手をすると振り込んだ金額全てを無くしかねないという危険の中にある。

新たな法律では、既存の投資家の資金を保護しきれず、マイナスイメージ先行となり、これでは新たな投資家を呼び込めるかは極めて難しいと言わざるを得ない。

今、ドバイでは巨大建設計画がいくつも延期されているが、敷地内に4つのテーマパークを持つというワールド・オブ・ディスカバリー(Worlds of Discovery)も建設計画を延期させてしまった。

当初の建設計画では、シーワールド(SeaWorld)、アクアティカ(Aquatica)、ブッシュ・ガーデンズBusch Gardens)、ディスカバリー・コーブ(Discovery Cove)といった4つのテーマパークをザ・パームの冠(the Crown)とよばれる部分に建設することが計画されていた。

不動産価格の下落や世界的な金融危機のより傷を負った投資家等に投資余力が無くなったことを受け、建設の開始を疑問視されていた同テーマパークだが、業者自身であるNakheel(*ドバイ最大の開発業者の1つ)も建設資金を調達できず、当分、建設を延期すると発表している。

元々は、米フロリダでシーワールドを運営する米ブッシュエンターテイメント社との協力で、シーワールドおよびアクアティカの第一期工事は2012年の12月完成を目指していた。

テーマパーク全体の完成は2015年とされていた。

現在はいつ開発を始めるかのアナウンスは全くなく、実質、無期限延期といってもおかしくない状態だ。

いくつもの大型プロジェクトを打ち上げることで世界からの投資家資金を集めてきたドバイだけに、こういった大型案件が頓挫してしまうと、法律改正をしたとしても、なかなか新たな投資家を呼び込むのは難しいのではないだろうか。

プリンタ出力用画面 友達に伝える



Copyright (c) 2004 CPGBalticsOU All rights reserved.
本ホームページの全部または一部を 無断で複写複製(コピー)することは、 著作権法上での例外を除き、禁じられています。