年金基金の積立金の一部が財政赤字の補てんに回されて、元本すら保証されないかもしれないと皆が心配になっている。
エストニアの年金基金の半数以上を運用するSwedbankも株やファンドへの投資などで損失を広げており、そのつけはやはり年金給付にも大きく影響が生まれることになる。
同行がこれまでに失った運用総額割合は実に2割に上っている。
昨年末エストニア最大の年金基金K3″が自身が投資しているファンドへ更に1億6000万クローン(約14億800万円)を投資し、投資価値を高めようと試みた。
しかしながらファンドは上下し、そこでも損失を拡大させてしまった。
特にジャンクボンド扱いとなったSwedbankが運用するロシア・東欧不動産ファンドではその価値を70%以上も落としてしまい、突っ込んだ足が抜けなくなった状態で、止めるにやめられない袋小路に陥っている。
投資価値が限りなくゼロに近づいている投資先は他にもあり、Sampo bank傘下の年金基金9つもその価値を5割以上無くしてしまっている。
K3を運用するFabio Filipozzi氏は、Swedbankのロシア・東欧不動産ファンドにはもう流動性資金は残っておらず、ユニットが売られればそのまま価値は真っ逆さまに落ちる落下傘状態だと嘆いている。
急成長したロシア・東欧の不動産への投資は、世界的な不動産バブルの崩壊とリーマンショックから始まった100年に一度の大不況とに相俟って、その価値は底なし沼化と化している。
既にファンド自体を清算するものも多く、SEBでもリスクが高いとされたファンドは昨秋清算し、損失を1億クローン(約8億8000万円)で留めることに成功したらしい。
SEBのVahur Madisson年金ファンドマネジャーによると、実際、もし昨年の秋以降も継続して運営していたら、巨額債務がSEBに圧し掛かるところだったと胸を撫で下ろしている。
同マネジャーは、早々に清算できたのは運が良かったと言わざる得なく、その判断は正しかったことが今実証されていると語っている。
国民の将来は、政府の政策ミスも重なり悠々自適な年金生活設計は先送りされ、更に貯め上げた年金貯蓄も運用の失敗でその規模が大きく棄損された今、民主化され自由経済化された今のエストニアが皮肉にも共産時代の時よりも苦しまないといけないと誰が想像できただろうか?