LETAによると、巨大メディア米News Corpを率いるRupert Murdoch氏がラトビアで傘下に収めるテレビ局LNTとTV5に関し、現在の所、両社を手放す意思はないと強調している。
これまでに同社が傘下におくラトビア、ブルガリア、セルビアのテレビ局を売却するのではという噂が広がっていた。
売却の現実味を感じさせた背景は、売却でのアドバイザーとしてリーマンブラザーズを指名しており、同社破綻後にはJPモルガンが新たなアドバイザーに就任したとされていたことにある。
しかしながら、ここ最近になり同氏は世界的な経済環境の悪化を背景に売却の時期ではないと判断し、売却意思を撤回した。
エストニア中央銀行が発表した短観によると、来年度の経済見通しをとても悲観的に見ていることが分った。
同中央銀行では、来年度のGDP成長率は2.6%成長、そしてインフレ率を6%程度を予測した。
この水準は財務省が発表している経済予測よりも更に悪化したものとなっている。
経済環境の悪化はこれから更に酷くなると見られ、輸出は減少し輸入増に転ずることで経常赤字は更に増加すると見られる。ただし、この所の原油価格の下落などが光熱費の引き下げに繋がり、インフレ率は改善の兆しを見せるなどの期待感は高まっている。
しかしながら、先行きの予測を発表した大手銀行SEBでは、来年度のGDPは2.2%成長にまで低下するとして中央銀行の予測を更に割るという予測を立てている。
世界的な金融危機の不透明感が続く限り、国内の経済環境は改善は望めないという。
経済ニュースBBNによると、エストニアの零細銀行でも十分この経済不況を乗り越えられるだけの資本を持ち合わせているという。
零細銀行とされるMarfin pank、Krediidipank、Tallinna Äripankの3行は、この経済環境下、確かにローンの焦げ付きなどは増えていることを認めてはいるが、十分それに耐えうるだけの資本を持っているという。
ただし、各行とも事業形態が違っており、Marfin pankとKrediidipankはエストニアでは子会社という扱いで、親会社の財務環境に大きく左右されることになる。
Tallinna Äripank(Tallinn Business Bank)は、事業規模は個人向けの日常銀行業務に特化していることもあり、あまりバランスシートが傷ついていないという。
ギリシャ人オーナーのMarfin pankでは、この上半期だけでも融資の焦げ付きで800万クローン(約6560万円)の損失を計上しており、今後も焦げ付きが拡大すれば経営に影響が出てくることになる。
実際、同社では12人の顧客に融資した総額が総融資額の半分強を占めており、債権バランスが極めて安定していない。
ただし、金融当局によると、同行のソルベンシーは例え現在の焦げ付き水準が4倍にまで拡がっても同行には十分な資本があると太鼓判を押している。
預貯金保護を謳ったエストニア政府だが、政府としては大手企業が所有する預貯金までは保証できないというスタンスを示唆している。
地元紙Äripäevでは、企業規模により預貯金の保護の有無について紹介したが、特に中堅および大手企業についてはその対象から外されるという。
政府としては、大手企業などは十分リスク管理が行き届いているはずで預金保護をする必要はなしというスタンスだ。
昨年末の時点で約7万6000社が活動をしていたが、その内1万社あまりが従業員10人以上の中堅及び大手企業に振り分けられる。
EUとの歩調を合わすことを決めたエストニア政府は、個人の銀行預貯金550億クローン(約4510億円)を保証している。
一方で企業が所有する預貯金総額は8月末の時点で677億クローン(約5551億4000万円)あり、この預金が保証されないとすることでこれらが海外流出しないかが懸念されている。
10月15日時点で会社の破綻/清算を申請した企業数が811社に上り、既に昨年の破綻申請数を上回ったことが明らかになった。
地元紙Arilehtによると、昨年1年間では698件の企業破綻申請が受理された。
今年半年間を見ても、479社が清算処理に入っているが、特に7月以降に清算申請が急増しており、この3ヶ月で322社が会社の破綻を裁判所に申し出ている。