地元紙Päevalehtがもしロシアがエストニアへの天然ガスの供給を止めたら、エストニアは精々1ヶ月しか生き延びれないと伝えている。
欧州ではロシア産の天然ガスへの依存度が極めて高く、CIS諸国やトルコを含めると、この2年間にロシアはこれらの諸国へ計8280億立方メートルを輸出したという。
エストニアの経済問題通信省によると、2010年にはエストニアの天然ガス需要は10億9500万立方メートルに達する見込みであることを示唆しており、 Ell-Mari Koppel同相はガス供給法案の訂正に言及する発言も発している。
エストニアガスのSergei Zagrebailov氏は、エストニアではガス貯蔵に関しては不可能であり、個人へのガス供給は1ヶ月、そして企業へは停止せざる得なくなると状況の危機感を示唆している。
ロシアとの外交問題が改善出来ない現状を踏まえ、早急にもMuuga港やPaldiski港にガス輸入ターミナルを設け、中東やメキシコなどから天然ガス輸入が出来るように着手しておくことが、将来、エストニアがロシアのエネルギー戦略と対峙する唯一の手段であるとの論議が挙がっている。
04年に欧州連合に加盟したことで経済ブームが発生したバルト3国ではあるが、それは既に終焉し、経済は急速に失速中であるという。
英FT紙によると、エストニアの第1四半期のGDPは昨年同期比で-1.9%となり、リトアニアでは経済成長率は6.9%へ減速、そしてラトビアでは3.6%成長にまで急減速となっている。
二桁成長を謳歌してきたバルト3国経済では、ここ数年、賃金は高騰し、インフレはうなぎ登りとなり、不動産価格は高騰が続いた。
しかしながら、驚異の急成長を達成してきたバルト3国も高インフレにより購買力も低下し、不動産価格の下落が消費者信頼感指数の急低下に飛び火し、ここに来て不動産業界では危機的な状況に追い込まれてしまった。
エストニアでは、昨年フィンランドの電子メーカーElcoteqがエストニアでの賃金平均を15%引き上げたが、それでも人材確保が出来ず、ハンガリーで人材を確保してタリンで就労させ何とか工場を稼動させてきた。
しかしながら、同社では今年2200人いる従業員を1700人にまで削減し、何とか生き延びようと模索している。
同様にロシアとの国境街ナルバで繊維会社を運営するスウェーデンのKremholmでは、5年前には4500人いた従業員を順次削減し、この7月には1100人にまで減らすことを決めている。
これまで賃金が安いことでエストニアへ進出してきた国際企業は、競争力をなくしたエストニアから次々にその生産施設をアジアなどへ移転させ始めている。
2014年からはエストニアは欧州連合(EU)から格差是正基金(Cohesion Fund)の助成が得られなくなるという。
経済ニュースBBNによると、EUでは、エストニアの一人当たりGNPが既にEU平均の75%近くあり、同助成金を得る国ではなく、十分裕福な国に成長したとして、2014年以降は援助を止めることを決めた。
同助成金を得るには一人当たりGNPがEU平均の75%以下でなくてはならない。
エストニアのKalle Killar財務相によると、エストニアの一人当たりGNPは、EU平均の73〜74%あり、直に75%を上回ることになるという。
これまでにエストニアでは、2004-2006年の3年間に計67億クローンの助成金を得ていた。
バルティックタイムズによると、リトアニアのディーゼル及びガソリン価格が過去最高水準を付けている。
国内最大手の1社スタットオイル(Lietuva Statoil)が先週の金曜日に値上げを行った。
同社では、ディーゼルを4.35リタス(約206.6円)/リットルに値上げし、同時にレギュラーガソリンを3.97リタス(約188.6円)/リットルとした。
同業他社のLukoil Baltijaでは、ディーゼルを4.27リタス(約202.8円)で販売し、レギュラーも3.89リタス(約184.8円)に留めているが、何れ値上げされることは避けられないと見られている。
昨年、投資会社Alta Capital Partnersが駄菓子メーカーKalev及び乳製品メーカーTereの買収に署名したが、その買収金額の支払期限が明日に迫っている。
地元紙アリパエブによると、Alta側では、約束した買収金額の調達に失敗しており、最終的にこの取り決めが破綻する懸念が擡げている。
昨年、Altaでは6億6000万クローン強(約69億3000万円)でのKalevとTereを買収することで合意していた。
同2社を売却し、既にメディアグループの構築に専念しているOliver Kruuda氏は、もし今回の売却そのものが白紙に戻ったとしたら、これまでに数百万クローンをメディア事業に投じている同氏としても、多くの計画に変更を余儀なくされる為、今後の動性が注目される。
しかしながら、Alta社のIndrek Rahumaa代表は、29日、Oliver Kruuda氏への入金作業を延期することを一方的に発表し、買収資金が調達できなかったことを認め、今後、買収金額について、再度、両者で協議を持ちたいと表明した。
投資家のJoakim Helenius氏は、支払の延期は茶番で、既に契約は破棄されたようなものだと指摘している。
同氏は、Alta側は損失を最低限に留める為にも、契約破棄の罰金を払ってでも今契約を白紙に戻すべきだと示唆している。