ベラルーシのAlexander Lukashenko大統領が国営会社を意味もなく安値で売却する意思はないとして、その中にはベルトランガズ(Beltransgaz)も含まれると示唆している。
同大統領によると、ベラルーシ政府としては、国営ガス会社を露ガスプロムへ売却することを反対しているわけではなく、ただ、実態に合った金額が支払われない限り、その売却は有り得ないと強調している。
これまでにベラルーシのVladimir Semashkoシニア副首相がベラルーシとしてはベルトランスガズ社の株式半数をロシア企業へ放出することを示唆しており、その見返りにベラルーシとしてはロシア国内で100億〜120億立方メートルの天然ガスへのアクセスを求めると主張していた。
ベラルーシの狙いは、ロシアの廉価なガスを直接取得することと見られている。同様の問題をウクライナでもロシアとの間で抱えており、ロシアとのエネルギー問題が旧ソ連諸国の間で最大の問題となりつつある。
ガスプロムでは、ベルトランガズへ07年から欧州向け価格を適応させることを通知しており、現在の1000立方メートルあたり46.68ドルから5倍近い価格を突きつけている。
今年両社が結んだ契約では、ガスプロムは210億立方メートルをベラルーシへ提供することになっている。価格は05年度分を適応しており、今のところ廉価な価格で天然ガスを取得している。
このままガスプロムの意向が通った場合、ベラルーシは天然ガス1000立方メートルに200ドルを支払うことになり、少なくとも100ドルから150ドル程度で落とし所を模索すると見られている。
モスクワで進められていたウクライナとロシアとの天然ガス価格協議で、今後3ヶ月間は現状価格のままで取引されることが確定した。
ウクライナではこの1月にこれまでのほぼ2倍増となる価格でロシアからの天然ガスを購入することで合意し、ウクライナ経由で欧州へ輸出される天然ガスの盗用を停止し、両国間での関係に改善の期待が寄せられていた。
ロシアからは5年契約とされた卸価格の引上げを早くも示唆し、強要する姿勢も散らかせる動きもあったが、取敢えず第3四半期終了時点までは年初の1000立方メートルあたり95ドルの契約内容で取引することが今回の協議で了承され、第4四半期の価格については継続協議をするというぎりぎりの協議が続けられることになる。
年初の合意では、これまでのガス卸価格50ドルが95ドルまで引き上げることで両国は合意し、ウクライナによる欧州向けガスの盗用により起因した西欧諸国のエネルギー不足が解決したという経緯がある。
ベラルーシのインフレ率がCIS諸国中最低を記録している。
この5月期の消費者物価指数は、昨年12月期との比較で2.8%の上昇となり、同様の低インフレとなったのは1-5月期のウクライナのインフレ率であった。一方で同期間中のロシアのインフレ率は5.9%の上昇であった。
1-4月期のベラルーシのインフレ率は2.5%で、ウクライナ2.3%、ロシア5.4%、カザフスタン3.7%、キルギスタン3.6%、モルドバ5.9%、タジキスタン6.2%、アジェルバイジャン5.3%、グルジア3.3%、アルメニア3.1%などを押さえ、2番目に低いインフレ率となった。
2005年までのベラルーシのインフレ率は、CIS諸国でも最も高い部類にあったが、05年度を境にロシアやウクライナを下回るようになり、CIS諸国中最低のインフレ率を記録するようになった。
ウクライナの大手乳製品メーカー ウクルプロダクトの株価が暴落している。同社のオーナーは元英ラグビーのコーチであるJack Rowell氏で、ロシアがウクライナ産の乳製品の輸入を禁止したことから税引き前収益が激減したことを受けて株価が暴落を記録した。
ロシアでは、この1月にウクライナからの牛肉や牛乳などを禁輸しており、チーズメーカーへも大きな影響が出ており、周辺国に製品の多くを迂回輸出することで難を凌いでいる。
ウクライナのチーズ業界では、リビアやサウジアラビアなどへの輸出を拡大し、ロシアへの輸出分を補っている。
ロンドンに上場するウクルプロダクトの株価は、25%暴落し一株38ペンスで取引されており、05年2月の株式上場以来最大の下落を記録しており。株価の下落により、同社の時下価値は2900万ドルにまで減少している。
ウクライナはロシアとのエネルギー供給問題で揉めている事もあり、財界では経済不況に陥ることに懸念を表明している。ロシアからのエネルギー輸入比率は、全体の約80%を占めている。
モルドバ国立統計局によると、06年第1四半期の経済成長率が6.2%に留まったことが明らかになった。この第1四半期にGDPは6億3570万ドルであった。05年第1四半期の8.2%成長や05年度通年の7.1%と比較しても成長速度の鈍化鮮明になりつつある。
モルドバ政府および国際通貨基金(IMF)では、今年のGDPを6〜6.5%と予測しており、実質国内総生産は32億600万ドルと試算している。IMFが承認したモルドバの3ヵ年経済改革案でも、06年度のモルドバ経済は鈍化することが予測されており、その理由をエネルギー価格の高騰と人材不足を挙げている。
同案では、中期的なGDP成長率は5〜5.5%と予測されている。しかしながら同案がIMFに承認された時点ではロシアによるモルドバ産ワインの輸入禁止措置が施行される前であったことから、将来的に大きな影響を及ぼすものと見られている。実際、ロシアへのモルドバ産ワインの輸出先比率は80%を超える巨大市場となっていた。